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☆サプライズ [詩]

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【はじめに】
今回は、別館には載せず、あくまでもここだけの記事とさせていただきます。
(今日、UPすることに意味がある記事だから)
ちなみにカテゴリー、「詩」になってますが「詩」じゃないです・・・。



今日は4月9日・・・だった日。
もう、日付が変わって、4月10日になった。
そう、あなたの誕生日。
31年前の今日、あなたはこの世界に生まれてきた。
その奇跡と、今日というかけがえのない日に、あなたと共に過ごせる奇跡に感謝をして、あなたの帰りを待っている。


ソファに横になっていたら、さっきまで部屋中片付けやらなにやらしていたからか、どっと疲れが出てきてしまい、いつのまにか眠ってしまっていた。


・・・・・・ガタ・・・・・・。


物音がして、思わず身体を起こす。
「起こしちゃった? ごめん」
優しい、あなたの声。
ぼんやりした視界の先に、あなたが立っていた。
帰ってきて、着替えをしている途中だった。

慌てて私は立ち上がり、ご飯の準備するね、と口を開きかけて、その言葉を吞み込んだ。
・・・・・・こんなに夜遅かったなら、仕事場で済ませてきているだろう。
そんな私の表情を察して、あなたは告げる。
「ご飯、まだ?」
「えっ」
「準備して待っててくれてると思ったから、何も食べずに帰って来たんやで。一緒に作ろ?」
「うん・・・!」

そうして、私たちはいつものようにキッチンに2人で入って、夕食を作った。
夜遅かったので、予定していたメニューは明日にすることにし、軽めのディナーを食卓に並べる。
いつもと変わらない時間。
心地よい温度。
やわらかくて、あたたかくて、ホッとする空間。

食後、私は小さなシャンパンを冷蔵庫から取り出して、2人でグラスを傾けた。
そしてようやっと、今日、あなたに一番届けたかった言葉を伝える。
「お誕生日、おめでとう」
予想はしていたんだろうけど、あなたは嬉しそうに、微笑んでくれた。
「ありがとう」
あなたの言葉に笑顔で返して、私は足元に隠しておいた紙袋から、小ぶりの箱を取り出し、あなたに手渡した。
「これ、プレゼント」
「ありがとう! うわ~、なんやろ」
にこにこと、嬉しそうにそれを受け取るあなた。
けれど、それを開けようとして、鍵がかかっていることに気付き、私を見る。
そこで私は、1枚のカードをあなたに手渡す。
「? カード?」
「うん、開けてみて」
封のされていないシンプルな封筒の中に、メッセージカードが入っている。
あなたがそれを開くと、そこにはこう書かれていた。

【Love is the key】

「僕の歌・・・・・・!?」
「ヒントだよ。このおうちの中に、その箱の鍵、隠しちゃった。探してみて?」
悪戯っぽく私が笑うと、あなたは「よーし!」と腕まくりをして、鍵を探し始める。
靴箱の中、ギターケース、ピアノの下、水槽の傍、キッチン、ペットの首輪・・・・・・。
至る所から鍵が出てきたが、そのどれもが箱を開ける鍵ではなく、あなたは鍵を見つける都度喜んで、鍵があわないと知る都度落ち込む。

「どう? 見つかった?」
リビングのソファに腰掛けて様子を見ていた私が尋ねると、あなたは少しだけ意地悪な顔をしてみせる。
「まさかこれだけたくさん隠してくるとは思ってなかったなあ・・・。せやけど、僕、鍵の場所、本当は最初から分かってたで」
「本当に? じゃあ、何処にあるの?」
するとあなたは、迷うことなく私に近づき、私の隣に座って、私の首にかかっているネックレスを手繰り寄せる。
ペンダントトップには、小さな鍵。
少年みたいにキラキラと輝いた瞳で、私を見つめながら言う。
「これとちゃう?」
あなたは私の首からネックレスを外し、手にした鍵を使って箱を開ける。

・・・カチ・・・。

「ビンゴ!」
箱の中に入っていたのは、小さな鏡と天然石で出来たブレスレット。
「ブレスレットは、前に欲しいって言ってたやつだから分かるけど・・・、鏡?」
あなたの誕生石が埋め込まれた、シンプルな造りのそれを取り出しながら、怪訝そうに訊ねるあなたに、私は一言一言大切に言葉を紡いだ。
「うん。その鏡、魔法の鏡なんだよ。そこに映るあなたが、怒っていたり、悲しんだ顔をしていたら、私も、例え違う場所にいたとしても、あなたと同じ表情をしてるんだって、思い出してみて。もちろん、あなたが笑っていたら、そのときは私も笑っているから」
だから、私を怒らせたり、悲しませたくないなら、笑っていてね。
黙って聞いているあなたを、私はそっと抱きしめた。
「でもね、これから先、あなたの歩いてく道の先に、辛いことが待っているかもしれない。鏡を覗いただけでは、どうにもならないときが来るかもしれない。そんなときは、隠さず、全部、私に吐き出して? 私はずっと、ここにいるから」
「うん・・・・・・」
「喜びも、哀しみも、分かち合っていこうね」
「うん・・・・・・」

あなたがその鏡を開かない間は、私はいつでも笑っている。
ずっと、ずっと、あなたを想って、笑っているから。


お誕生日、おめでとう。
今日から続く1年間が、あなたにとって美しく輝き、微笑み続ける日々でありますように・・・・・・。





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今頃、オイラは奈良の某ホテルで睡眠中と思われます。
予約投稿。
明日帰ってくるよ!

毎年綴ってる詩を、今回は小説にしてみました。
自分の好きな曲からキーワード貰いました^^。
繋がってていいでしょう(←自画自賛)。

皆様におかれましては、どうぞ「私」に自分を嵌めて想像してみてくださいね☆



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